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歯周病について

以下の「歯周病について」は、当院に受診された方に、ご自身の検査結果と共に、院長より直接ご説明している内容になります。
一般歯科医院とは、検査方法、治療法が異なるため、一般歯科に掲載されている歯周病に関する情報とは、異なる部分があります。

※歯科医療関係者の方へー最新の情報を正確に記載しているため、ご自身の治療の参考にされるのは結構ですが、ご自身のホームページなどには無断転載はご遠慮願います。

はじめに

歯周病とは?

歯周病とは、歯の周囲の骨が吸収してしまう、細菌が主原因の慢性炎症疾患です。
お口の中の細菌が主な原因ですが、この細菌により、歯の周りの組織(歯茎や顎の骨)に持続的な炎症が生じます。
病気の始まりは、歯茎に限局した炎症で、歯肉炎と言いますが、歯肉炎のまま長期間放置してしまうと、顎の骨が溶け始め、歯周炎となります(歯肉炎が歯周炎に移行した)。
歯周炎は、骨の病気です。このことを知っておかないと、どのような治療が必要なのか、なぜ必要なのかを理解することが難しくなります。
歯周病は、成人の約50%が罹患しており、そのうち約10%は重症型の歯周病です。
色々なところで、国民の80%が歯周病と書かれていますが、実際は約50%です。

歯周病と言っても、1種類ではなく様々な歯周病があります。まず大きく歯肉炎と歯周炎に大別されます。
歯肉炎には、プラーク性歯肉炎(一般的な歯肉炎)だけでなく、お口の中以外が原因の歯肉炎もあります。
歯周炎にも、一般的な歯周炎(慢性歯周炎と言います)と、侵襲性歯周炎だけでなく、全身疾患の一症状としての歯周炎も存在します。また、歯周炎は、程度、範囲、ステージ、グレードなど、によって分類され、一般的な歯周炎でも、パターンとしては72通りの歯周炎が存在します。
参考:日本歯周病学会2019年の分類
どのような状態かを把握するためには、精密な検査が必要です。

また、最新の歯周病の分類では、以下の5つの状態は、歯周炎と同じ症状を呈しますが、歯周炎ではない状態です。

  1. 外傷(事故など)による歯茎の退縮
  2. 歯茎に近接した虫歯
  3. 埋伏した親知らずによる隣接する歯の組織破壊
  4. 歯内ー歯周病変(神経の問題と歯茎の問題が同じ歯に同時に起こったもの)
  5. 歯根破折

これらの鑑別も必要です。診断を間違えると、違った治療法を選択してしまい、適切な治療法を行うことができません。

以前は歯槽膿漏と言っていたことからも、一般の方には歯周病は歯茎の病気と思われていますが、歯周病は実は骨の病気です。
そのためには、お口の中をみるだけでなく、必ずレントゲンを撮影し、顎の骨の状態を見る必要があります。
歯周病かどうかをある程度判断するためには、パノラマレントゲンというレントゲンでわかりますが、歯周病治療をするためには、必ず10枚法、もしくは14枚法というレントゲンがないと治療方法を決定するための情報は得られません。
もし、歯周病治療(特に再生治療などの外科治療)が必要と言われた方で、14枚法を撮影されていない方は、デンタル10枚もしくは14枚法を撮影し、治療していただけるクリニックへの転院をお勧めします。
デンタル10枚、14枚は、歯周病専門医にとっては当たり前のレントゲンですが、一般歯科の先生は、ほとんど撮影されません。(上述のパノラマレントゲンが主流です)

また、レントゲンだけでなく、歯周組織検査という検査も必要です。
歯周組織検査では、ポケット深さ(歯と歯茎の間の隙間の深さ)、BOP(ポケット深さ測定時の出血の有無)、歯茎の退縮量、動揺度(歯がどれくらいグラグラしているか)、分岐部(奥歯の根の状態)などを計測します。
ポケット深さ、BOP、退縮量に関しては、1つの歯に対して、6点計測するのが、世界では一般的ですが、日本の健康保険治療では、1点法が主流です。
1つの歯に対して、1点しか計測しないと、歯周病を見逃したり、現状をきっちりと把握できなかったりするため、当院では必ず6点法で計測しています。

レントゲン写真に関しても、歯周組織検査にしても、日本歯周病学会の認定医試験、専門医試験でも、これらの詳細な情報があって、ようやく認定医や専門医試験を受験することができます。
しかし、健康保険診療の観点から、そういった試験のためだけでなく、ルーティンとしてきっちりと検査を行い、治療しているクリニックはあまり多くないと考えられます。
ただ、これは一般のクリニックが悪いわけではなく、健康保険の制度的な問題であることも大きい理由の一つです。

上記以外の歯周病の検査として、日本でだけ、なぜか歯周病の細菌検査を行っているクリニックがあります。
健康保険診療をしているクリニックでも、自費治療で歯周病細菌検査を行っておられますが、当院では歯周病細菌検査は行なっておりません。
理由は、非常にシンプルで、必要ないからです。歯周病細菌検査をすると、お口の中にどの種類の歯周病菌がいるかはわかります。
しかし、歯周病菌の種類がわかったところで、治療法に何も影響しないからです。
歯周病に対する最新の考え方としては、ある特定の細菌で生じるのではなく、細菌叢の変化(細菌のバランス)が崩れてしまうこと(ディスバイオーシスと言います)で生じる病気であると考えられています。
また、調べる菌種は、特定の数菌種(5菌種程度)のみとなりますが、お口の中には500から700種類ほどの菌がいると言われ、まだ名前もついていない菌もたくさんあるため、菌種を知ること自体、現代の治療には全く関係ありません。

当院では、治療に際し、必要な検査、治療は行いますが、不必要な検査、治療は行いません。 そのため、治療に際し、なぜ必要なのかを全てお伝えし、ご理解いただけるようになっております。

歯周病は歯茎や顎の骨などの組織の慢性炎症です。
お口の中だけの炎症ですが、持続的な炎症のため、炎症を起こしてしまった組織から放出されるサイトカインという物質が全身に流れます。
また、同時に細菌感染症でもあり、これらの細菌自体も全身にまわると言われています。
そのため、虫歯とは対照的に、全身疾患との関係性が非常に深い病気です。
そのため、全身疾患も、慢性の炎症性疾患との関連性が深く、主に生活習慣病と言われる疾患との関係性が深いです。
歯周病との関係の強さは、疾患によってそれぞれですが、以下に列挙します。
以下の疾患をお持ちの方で、歯周病治療をされる方は担当医がその疾患について把握していることを確認してください。(一般の歯科医院では、あまり重要視されない場合があります)

  • 糖尿病
  • 心血管疾患
  • 早期低体重時出産
  • 肥満
  • メタボリックシンドローム
  • 関節リウマチ
  • 肺炎
  • 慢性閉塞性肺疾患
  • 骨粗しょう症
  • 非アルコール性脂肪肝疾患
  • 慢性腎臓病
  • 乾癬
  • アルツハイマー病
  • うつ
  • がん

歯周病治療は、インターネットで調べると数多の治療方法が出てきて、一般の方からするとどれがいいのか、判断が難しいと思います。
以下に記載する内容は、世界的に歯周病治療として受け入れられている治療(つまり、信頼性が高い治療)について、解説していきます。
これら以外の治療は、主要な治療ではなく、主要な治療を行う際に、付加的に行う治療だと考えていただければと思います。

歯周病治療は大きく2つに大別されます。
歯周基本治療と、歯周外科治療です。

歯周基本治療

歯周基本治療とは、歯ブラシを中心としたセルフケアと、非外科治療(スケーリングやルートプレーニング)です。
歯科医院での非外科治療を行う際に最も重要なのが、ご自身のセルフケアです。
日常のセルフケアが上手にならなければ、以下に記載する治療の効果が最大限発揮されないため、非常に重要です。
そのため繰り返し行う必要があるのと、時間をかける必要があります。(健康保険ではなかなか指導に時間をかけることが難しいです。そのため、歯ブラシ指導に30分、1時間をかけられた方は少ないと思いますが、それくらいの時間は必要です)
非外科治療というのは、歯や歯根についてしまった細菌の塊(バイオフィルムと言います)を除去する必要があります。

スケーリング

歯周病の重症度により、歯根部分に付着したバイオフィルムを除去するために、麻酔を行い治療をすることもあります。
歯根にバイオフィルムが付着している場合は、単に除去するだけではなく、ダメージがある歯根表面を綺麗にする必要があります。

ルートプレーニング

これらの治療は、「歯周基本治療」というだけあって、基本の治療となります。
そのため、この治療をしない歯周病治療は、歯周病治療でないといってよいでしょう。

歯周外科治療

次に、歯周外科治療です。
歯周基本治療が終わった段階で、お口の中を再度、検査をします。
検査をして、歯周病が治癒しているのか、まだ歯周病が残っているのかを確認します。(再評価と言います)
再評価をして、まだ歯周病がある場合には、歯周外科治療を行います。
この際に、もう一度歯周基本治療を行うクリニックがあるようですが、一連の歯周基本治療にて、再度基本治療は行いません。
もしそのようなことがあれば、多くの場合、歯周外科治療に対応していないクリニックである可能性が高いです。
前述のように、歯周病は骨の病気です。
そのため、疾患が進行してしまった場合は、骨の処置をしなければ、状況の改善は見込めません。
定期的なクリーニングだけの対応は、治療とは言えないでしょう。
歯周外科治療は、大きく分けて、切除療法と再生療法に分けることができます。
それぞれの状況に合わせて、どちらかを選択する診断力、および技術がなければ治療はできません。
これらの治療を適切に行うためには、一般的なインプラント治療よりも難易度が高いため、インプラント治療をされているクリニックであれば、どこでもできる治療ではないのが現状です。
近年は、再生治療の進歩により、歯周外科治療が必要な場合の多くは、再生治療を行います。
再生治療は、様々な材料、薬剤を使用して、治療を行います。
健康保険で適応される症例は、非常に限られた場合(歯周病の初期の段階で、症状がない場合がほとんどです)であり、多くの場合は、保険適応外の材料と組み合わせて治療を行う必要があります。
この場合は、保険医療機関であっても、自費治療になります。

このように、歯周治療について解説してきましたが、これはあくまで基本的な治療となります。
歯周病の治療で最も大事なのは、「なぜ歯周病になってしまったのかを考え、その原因を除去すること」です。
例えば、歯並びが歯周病の原因の1つである場合、単に歯周基本治療、歯周外科治療を行うだけでなく、矯正治療を行わなければ、せっかく治した歯周病も再発をしてしまう可能性が高くなります。
このように、治療を始める前に、徹底的に原因を洗い出し、それらに対して、一つずつ対処することが、適切な歯周病治療となります。
担当医から、原因に関する説明を受けてから、治療に臨まれることをお勧めします。
原因は、1つでないことが多いですので、単に「バイ菌が原因です」では、原因を突き止めていることにならない場合が多いので、注意してください。

歯周病といっても、重症度、原因は様々です。
そのため、ご自身の歯周病がどういった歯周病なのか、どの程度の歯周病なのかを調べる必要があり、そのためには、正確な検査と診断が必要です。
また、正確な診断の後に、治療法を決定していきます。治療法も一つではありません。
専門医であればあるほど、たくさんの治療オプションを、それぞれの利点欠点を踏まえて、提示することができます。

日本の歯科医師免許は、運転免許のような更新制ではありません。(米国の歯科医師免許は更新制です)そのため、歯科医師になった時点で、それ以上知識を得なくても、歯科医師として診療にあたることができてしまいます。
また、どういった知識があったとしても、専門医でも、一般歯科医師であっても、日本の国民健康保険では、費用は同じです。

こういった背景から、歯科医師には大きく分けて、3種類の先生がおられると思います。

  • 知識のアップデートをしていない先生
  • 知識のアップデートをたまにしている先生
  • 常にアップデートをしている先生

です。
前述の細菌検査を歯周病治療をする際に行なっている先生は、知識のアップデートをしている先生である可能性があると思いますが、我々のような歯科医療従事者でも、なかなかその評価は難しいと考えられます。
しっかりと、様々な治療オプションがあるクリニック、もしくは専門医と提携しているクリニックでの治療をお勧めします。
同じ治療を繰り返し行なっている場合、それは効果のある治療をしていない可能性があります。
歯周病治療に対応している、インプラント治療をしている、というクリニックでも、どの難易度の治療まで対応しているのかは、様々ですので、見極めは難しいかもしれません。

適切な治療プランをご提案

専門医の適切な知見と、
適材適所のネットワークで
本当に効果ある治療を

当院は、日本で初めての歯周病治療とインプラント治療の専門クリニック(自由診療)です。

日本に帰国後、専門医として様々なクリニックで治療を行っていた際、歯科医院は多いが、どこのクリニックに行けばいいのかわからず、歯医者迷子になられている方、一般歯科では少し難易度の高い治療をした結果、思い通りの結果が得られなかった方にたくさん出会いました。

そのような方々が、今後は適切な歯科治療を受けて頂き、治療後もしっかりとお手入れを行った上で、健康な口腔内を維持して頂けるようなお手伝いをしたい。

そんな思いで、当院を開院いたしました。

治療の流れ

  • 01. ご予約

    ご予約の方優先のため、お電話、またはホームページより診察のご予約をお願いいたします。

  • 02. 口腔内の検査

    初回(初診1回目)は、口腔内全体の検査を行います。(1時間程度)

  • 03. コンサルテーション

    2回目(初診2回目)に診断結果、必要な治療などについてご説明いたします。(1時間半程度)

  • 04. 治療開始

    治療内容にご納得いただけましたら、3回目より実際の治療を開始いたします。

  • 01. ご紹介

    紹介状がある場合は、紹介元のクリニックからの紹介状を持参頂きます。(紹介状がない場合もあります)

  • 02. 口腔内の検査・コンサルテーション

    紹介元のクリニックからの紹介治療内容が具体的に決まっている場合は、初日に検査、及びコンサルテーションまで行います。

  • 03. 治療開始

    治療内容にご納得いただけましたら、3回目より実際の治療を開始いたします。

  • 初診料
    検査料・コンサルテーション料含む
    ※初回、2回目来院時の診療費、検査料、コンサルテーション料全てを含みます。治療に至るまでの検査、説明に関して、追加の費用は一切かかりません
    55,000円 (税込)

当院は、診査・診断を非常に大事にしております。
診査・診断の後、治療法が決定いたします。
患者様によって、必要な治療は、歯周治療・インプラント治療など、多岐に渡る場合もございます。
検査後の必要な治療費に関しては、診断結果のご説明(初診2回目)の際に、お伝えいたします。

よくある質問

他の一般歯科医院を受診中ですが、利用できますか?
はい、可能です。
虫歯治療などは、一般歯科、歯周病治療は当院で、といった利用も可能です。
虫歯があると言われましたが、治療は可能でしょうか?
当院は、歯周病治療とインプラント治療専門のクリニックのため、かかりつけ医か、もしくは当院が信頼できる他院へ、ご紹介させて頂きます。
健康保険診療は可能ですか?
当院は、専門医レベルでの診断、治療を行っております。そのため、健康保険の取り扱いをしておりません。
一般歯科医院とどう違うのでしょうか?
当院は、北米、ヨーロッパで見られる歯科医療システムを採用したクリニックです。
そのため、徹底した原因究明、より正確な診断、より多くの治療法のご提案、論理的なご説明を行い、十分なご説明の後の診療を行なっております。
また、検査結果をまとめたものも、お渡ししております。
歯磨きで歯周病は治りますか?
歯磨きでは歯周病は治りません。治療と、予防は分けて考える必要があります。
歯ブラシや、定期的なクリーニングは、健康な方の虫歯、歯周病予防のためであり、病気を治すためではありません。
病気がある場合は、治療を行ない、治療が終わってから、予防を行います。

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